
パラコート連続毒殺事件
パラコート連続毒殺事件(パラコートれんぞくどくさつじけん)とは、1985年(昭和60年)4月30日から11月17日の間に日本各地で発生した、主にパラコートを用いた無差別毒殺事件。全て未解決。当時監視カメラもなく、物証もほとんど残っていなかったため、犯人は逮捕されないまま迷宮入りした。なお同一人物による犯行だったのかどうかは不明である。
関連事件34件(模倣犯を含む)のうち、13人が死亡した。
事件詳細
- 全国各地の自動販売機の商品受け取り口に、農薬を混入したジュースなどが置かれていた無差別殺人事件。毒物の混入された飲料を置き忘れの商品と勘違いさせる手口が使われ、当時のキャップは現在と違って見た目では一度あいたものかどうか区別することが困難だった。
- またパラコートは除草剤で当時24%濃度の液剤が市販されており、18歳以上で印鑑さえ持っていけば農協などで買うことができた。
- 使われたのは、オロナミンC6件、コーラ2件、リアルゴールド2件、不明2件。毒物はパラコートが多いが、1件のみジクワットが使用されている。
- パラコートは除草剤。当時24%濃度の液体|液剤が小売|市販されており、18歳以上で印章|印鑑さえ持っていけば農業協同組合|農協などで買うことができた。致死量は15CC。
事件の概要
全国各地の自動販売機の商品受け取り口に、農薬を混入したジュースなどが置かれていた無差別殺人事件。毒物の混入された飲料を置き忘れの商品と勘違いさせ、それを飲んだ被害者が命を落とした。
当時、1977年に発生した青酸コーラ無差別殺人事件後の対応として、自動販売機で販売される瓶入りドリンクの殆どは、初開封時に封印のリング状の部分がちぎれて落ちる、現在にも至る構造が採用されていた。しかし、この当時はまだ社会に開封・未開封の区別をつける方法や必要性が充分に浸透していなかった。青酸コーラ事件が東京・大阪と大都市で発生したのに対し、本事件では比較的郊外の、性善説的な社会風土が残っていた地域での被害が多いのも、そのためと思われる。
パラコートは除草剤で、当時24%濃度の液剤が市販されており、18歳以上で印鑑さえ持っていけば農協などで買うことができた。致死量は15cc。
事件の推移
全て1985年。年齢は、全て当時のもの。
確認される犠牲者
全12件。死者は12名。
パラーコート連続毒殺事件でパラーコート入りの飲み物が発見された自動販売機の場所(場所は自動販売機があった場所ではなく各市町村)
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使われたのは、オロナミンC6件、コーラ2件、リアルゴールド2件、不明2件。毒物はパラコートが多いが、1件のみジクワットが使用されている。 いずれも自販機(自動販売機)に置いてあったドリンク(飲料)に、毒物が混入されていた。取り出し口が最も多いが、「自販機の上」、「自販機の下」というケースもある。
4月30日、広島県福山市の自販機
- トラック運転手(45歳)がドリンクを購入した際、自販機の上に置かれていたオロナミンCを飲む。
- 5月2日に死亡。運転手の嘔吐物から、除草剤であるパラコートが検出。
- 男性(52歳)が釣りから帰る途中、オロナミンCを購入。取り出し口にすでに同じ商品があることに気づき、2本とも持ち帰る。
- 帰宅後に飲み、9月14日に死亡。飲み残しのオロナミンCからパラコートを検出。
- 大学生(22歳)が、自宅近くでリアルゴールドを購入。取り出し口にすでに同じ商品があることに気づき、2本とも持ち帰る。
- 帰宅後に飲み、14日に死亡。検出された毒物はジクワット。
- 男性(30歳)が自販機の下にあったコーラを飲んだところ、気分不調を訴えて病院に駆け込んだ。
- 9月22日に死亡。胃洗浄、飲み残したコーラの両方から、パラコートを検出。
- 男性(当時45歳)が自販機で飲み物を買おうとして、取り出し口にリアルゴールドが2本あるのを見つけて持ち帰る。
- 帰宅後に飲んだところ、気分不調を訴える。9月22日に死亡。飲み残したリアルゴールドから、パラコートを検出。
- 男性(50歳)が飲み物を買おうとして、取り出し口にオロナミンCを2本見つけ、持ち帰る。
- 9月25日の午前中に飲む。翌日に容態が急変し、10月7日に死亡。
- 男性(44歳)が飲み物を買おうとして、取り出し口にオロナミンCが2本あるのを見つけて持ち帰る。
- 翌日飲み、10月21日に死亡。飲み残しのオロナミンCよりパラコート検出。
- 男性(69歳)が、取り出し口にドリンクが2本あるのに気づき、持ち帰る。
- 帰宅後に飲み、11月13日に死亡。飲み残しのドリンクからパラコート検出。
- 男性(55歳)が同様に死亡。
- 男性(50歳)が、取り出し口のオロナミンCを見つけて飲み、死亡。
- 男性(42歳)がオロナミンCを購入。取り出し口に2本あることに気づき、両方とも持ち帰る。
- 帰宅後に飲み、11月16日に死亡。
- 女子高校生(17歳)がドリンクを購入した際、取り出し口にあったコーラを見つけて持ち帰る。
- コーラを飲んだ一週間後に死亡。飲み残しのコーラからパラコート検出。
- この時は、業者から「事件についての注意書き」が自販機にしてあった。
事件を受け、オロナミンCを販売する大塚製薬は、瓶容器の形状をねじ回し方式からプルトップ方式に改良した。類似・パロディ品のミンナミンCドリンク、リアルゴールドに関しては変更無し。
自殺の可能性もある犠牲者
7月11日、京都府福知山市- 男性(48歳)がパラコート入りのドリンクを飲み、死亡。
模倣犯
いずれも東京都。死者は無し。
9月17日、港区- 画廊に勤める女(34歳)が、画廊の経営者と支店長に青酸化合物入りのコーヒーを飲ませ殺害を図ったが、未遂に終わり、逮捕された。
- 女は会社の金を使い込んでおり、犯行が発覚するのを恐れたため、犯行に及んだ。
- ドリンクを飲んだ大学生が、「変な味がする」と警察に訴える。
- 石灰硫黄合剤が含まれていたことが判明。犯人は不明。
- ドリンクを飲んだ女性(44歳)が、「変な味がする」と警察に訴える。
- 石灰硫黄合剤が含まれていたことが判明。犯人は不明。
自演
9月27日、東大阪市の自販機- 中学生が、ドリンクを飲んで「変な味がする」と警察に訴えて入院。
- 後に、自らが殺虫剤を混入し、飲んだことが判明。
- 動機は、「連続事件の犠牲者として入院すれば、同情したクラスメイトらが見舞いに来てくれると思った」というもの。
- 男(22歳)が、「変な味がする」と警察に訴える。
- 自らが殺虫剤を混入していたことが発覚し、逮捕される。
- ドリンクを飲んだ中学生が、混入していたパラコートにより倒れる。
- 後に、自ら飲む寸前にパラコートを入れ、自殺を図っていたことが判明。
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